京王電鉄 京王ライナー

 3月下旬から新宿発高尾山口行きの座席指定列車下り「Mt.TAKAO号」と、同区間の上り「京王ライナー」が、新緑の高尾山を訪れる行楽客輸送のニューフェイスとして、京王線高尾線線で運行されています。しかし3月、4月はまだ本格的な新緑シーズンには早く、また今年のこの期間は曇天や雨天などの天候不順が続き、さらに両列車の認知度もまだまだ低いこともあり、乗車状況は低迷を続けている状況でした。

 


 前半の6日間は晴れの日がわずか1日だけという曇天や小雨交じりのかんばしくない天候が続き、両列車とも空席が目立つ状況が続きました。

さればということで、晴天が予想された連休後半の4日から6日にかけて、連日高尾線を訪れてみました。

5月4日は「令和」のヘッドマークを取り付けたMt.TAKAO号も登場しました。 

 

 5日の高尾山口16時54分発の上り京王ライナー86号です。発車10分前に回送で到着しました。
昨年11月の上りMt.TAKAO号運行時の大混雑が、まるで嘘のようです。

 

 そうした中、発車間近かになって、「座席指定券はホームでも販売しています」とのアナウンスが聞こえてきました。本社の方でしょうか、背広姿の社員と駅務員が一丸となって、座席指定券の手売り販売を始めました。

 

 発車時間が近づいているのですが、驚いたことにその光景を見つけた乗客たちが行列を作り始めました。この光景を垣間見て、乗車率向上のヒントはこうしたところにもあると感じたことでした。

 

 めじろ台駅でも期間後半から独自の看板を用意して改札口前に掲出、上り京王ライナーがめじろ台駅にも停車することをアピールしていました。
シーズン期運転の座席指定列車の途中駅で、こうした取り組みが行われたのは初めてのことではないでしょうか。

 

 ともあれ大型連休期間中での有料座席指定列車の運行は、京王にとっては初めてのことでした。
高尾山の行楽は天候やその時々の人々の行楽動向、一般列車の混雑状況などに大きく左右されるため、今回のMt.TAKAO号と上り京王ライナーの運行は、定着には手間暇と時間がかかり、一筋縄ではいかないことを改めて示した形となりました。またMt.TAKAO号はノンストップ、上りライナーも途中降車が不可能なため、肝心の京王・井の頭沿線、直通の都営新宿線からの高尾山行楽客が、この列車に乗れない、または乗りにくいという実情が改めて顕在化しました。帰路の起点となる高尾山口駅でのPR不足も目立ちました。

 こうした点を考えると、通勤輸送の京王ライナーと行楽輸送のMt.TAKAO号の性格や停車駅は別のものとし、高尾山行楽輸送はMt.TAKAO号に一本化した上で笹塚や明大前停車などの停車駅設定の見直しを行い、利便性や集客力の向上、新たな付加価値の創出など、取り組む課題は少なくないように思えてきました。

 さらに高尾山口駅では、ホーム上の乗客が思いついたらすぐにその場で指定券の購入が可能、すぐさま乗車出来る仕組み、潜在利用者の気持ちを即座に実際の乗車に結び付けられる仕組みの確立が、乗車率向上に大きく貢献すると感じました。